中药生产ki20100404

上传者：贾连娣
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上传时间：2015-05-11
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10年春特別号

漢方薬）6.5兆円において1.8％のシェアを占めている。NRIでは、漢方薬の生産額は、2015年にはほぼ倍増して2,000億円超になると試算している。中国における漢方薬（中医薬）の市場規模が約２兆円、医薬品全体に占めるシェアが約25％であることを考慮すると、日本における漢方薬の市場規模もさらに拡大する可能性がある。

１．はじめに

民主党政権誕生後に実施された事業仕分けの一環として、医療用漢方薬を含む市販品類似薬を病院で処方した場合に、保険が適用されなくなる（「保険外し」の）見通しであることが報じられた。これに対して、医療用漢方薬メーカーであるツムラの芳井社長は、直ちに不満を表明した。また、日本東洋医学会、日本臨床漢方医会、健康医療開発機構、医療志民の会の４団体は、わずか３週間程度の間に、病院で漢方薬を処方されている患者やその家族などから約92万件もの「保険外し」に対する反対署名を集め、厚生労働省に提出した。その効果もあってか、長妻厚生労働大臣が「漢方薬などの保険外し」に異議を唱えたことなどもあり、漢方薬などの保険適用を外さない方向性が示される中、漢方薬は産学官民を巻き込んで注目を浴びる格好となった。

３．漢方薬産業に吹く追い風

１）薬事法改正による販売チャネル増加

09年6月に、改正薬事法が施行され、薬剤師でなく登録販売者が、漢方薬を含む第２類医薬品を販売できるようになった。登録販売者は、薬剤師に比べて資格取得が容易であり、そのため事業者側の採用コストも低くなる。そこで、コンビニエンスストアやスーパーなどは、新しい医薬品販売事業に向けた取り組みを活発化してきた。例えば、ファミリーマートでの24時間医薬販売の店舗実験や、セブン＆アイ?ホールディングスとアインファーマシーズとの提携などが代表例としてあげられる。上記は、医薬品全体（西洋薬、漢方薬）に関する動きであるが、一般用漢方薬についてもコンビニやスーパーなどで販売されるようになると想定される。それを促進する要因の一つが、漢方薬のパッケージの変化である。クラシエ製薬、ロート製薬、小林製薬などの一般用漢方薬メーカーは、生活者にとって効能?効果がわかりにくい従来のパッケージから、一目見て何に効くのかがわかるパッケージに刷新した。

２）高齢化社会到来による一般用漢方薬の利用増加近年、メタボリック症候群やセルフメディケーションというキーワードがさまざまな情報メディアで氾濫しているように、誰もが日常生活に健康を意識した取り組みをするようになってきている。

NRIが実施したアンケート2によると、健康に対する意 2

２．漢方薬産業の歴史と概況

「漢方」は、今から約1400年前の飛鳥時代に中国か

ら日本に伝わり、その後日本独自の発展を遂げた伝統医療である1。この?漢方?の代表例が、漢方薬である。漢方薬は、農家が生産した生薬を原料に漢方薬メーカーが製造する。そして、病院?薬局やドラッグストアなどの販売チャネルや、メーカーによる直販チャネルを通じて、生活者に提供される。その過程で、原料卸や医薬品卸などの仲介業者が介在することもある。なお、製造、販売、取り扱いなどについては、薬事法（厚生労働省管轄）によって規制されている。

漢方薬産業の市場規模は、厚生労働省の公表する薬事工業生産動態統計によると、2007年の生産額で1,131億円（うち、医療用918億円、一般用200億円、配置用家庭薬13億円）であり、医薬品全体（西洋薬、

以下の文献を参考としている。

金成俊『基礎からの漢方薬』薬事日報社、2009年

花輪壽彦「現代医療における漢方の位置」『科学』 Vol.75、岩波書店 NRI「消費に関する調査」（2009年9月）、健康に対する意識が

高い人の割合：全体（N=1,000）56%、20代以下（N=241）49%、30代（N=201）49%、40代（N=173）54%、 50代（N=209）59%、60代以上（N=176）73%

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10年春特別号

識が高い人は６割弱存在する。年代別にみると、年代が高くなるほど健康に対する高い意識を持っている。また、健康意識が高い人ほど、漢方薬を利用している（利用した経験がある）という結果になっている（図）。

図健康意識別にみた漢方薬の利用状況（N=1,000）

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10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

健康意識が高い人(N=563)

人

どちらでもない人(N=332)

人

健康意識が低い人(N=105)

人

今後は、高齢化社会の進展に伴い、健康を意識する人の増加が予想される。ゆえに、健康維持のための選択肢のひとつとして一般用漢方薬を利用する人が増加し、漢方薬の市場規模が拡大する可能性がある。

３）国際ルール変更による医療用漢方薬の世界展開医療用漢方薬では、今後、「従来わかりにくかった漢方薬の利用シーンをわかりやすくさせ、かつ効能?効果を示す統計データの取得量を増大させることを可能とする」国際ルールが整備される。具体的には、2015年に改定されるWHO（世界保健機構）のICD11（国際疾病分類?第11次改訂版）という国際ルールに、漢方薬の「症状」が登録される可能性がある。

この変化によって、国内外の医師による医療用漢方薬利用の増加や、国内外における漢方薬を利用する医師の増加が期待される。従来では、「病名」に対応して西洋薬が明示され、その効能?効果のデータが豊富なことなどから、医師は西洋薬を選択する傾向が強かった。国際ルールの変更によって、医師は漢方薬を「症状」に応じてわかりやすく処方できるようになり、科学的根拠?データを国際的に収集することが可能となる。その結果、グローバル規模で、漢方薬利用が促進されるようになると考えられる。

４．漢方薬産業発展のための課題と対応策

漢方薬を利用する生活者?医師が、国内だけでなくグローバル規模で増加することによる課題として、原料調達と産学官連携に関わる論点を取り上げる。

１）原料調達問題に対する取り組み

現在漢方薬を製造する際に用いられている原料生薬

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の６割が中国産、３割がその他の国からの輸入であり、国産は１割程度に留まっている。そこで、中国を始めとした海外に原料を頼りきっている現状を解決しようという動きが出てきた。

例えば、ツムラは北海道夕張市で原料の生産?加工?保管拠点を設置した。また、農林水産省は国内で生薬を生産?流通させるための取り組みに対して予算を設けた。さらに、厚生労働科学研究費補助金事業「漢方?鍼灸を活用した日本型医療創生のための調査研究」の中で、原料国内自給率を向上させるための検討が実施しされている。漢方薬産業を今後成長させていくためには、上記のような原料調達を意識した取り組みを継続的に進めていくことが望まれる。

２）産学官連携に対する取り組み

これまで、日本の漢方薬産業においては、官公庁を含めた連携はあまり行われてこなかった。それに対して、中国では、当局に専門部署を設置して、国策として漢方医学（中医学）を発展させていこうという取り組みを推進している。

日本において前述したICD11に向けた取り組みを進めて行く上でも、漢方薬産業を日本だけでなくグローバルなビジネスとして展開していく上でも、中国のように官公庁を含めた連携が実現できていることは有用である。そのためには、具体的にどのような連携を行うべきかについて、早急に検討していくことが必要であろう。

連携の萌芽事例として、前述の厚生労働科学研究費補助金事業や、特定非営利活動法人健康医療開発機構が企画?運営する「21世紀漢方フォーラム」などの取り組みがあげられる。当事業および当フォーラムでは、業界団体、大学医学部、官公庁（厚生労働省、経済産業省）などから関係者を招いて漢方薬産業に関して活発に議論されている。しかしながら、現段階では主に情報共有?認識共有の域を超える連携には至っていない。今後は、例えば漢方薬メーカーであれば、「川上ビジネスへ進出するために農林水産省や厚生労働省の後押しを受ける」、「海外への販売ルートを整備して売上を拡大するために経済産業省の支援を受ける」などのように、具体的なアクションを見据えた上での連携を生み出す働きかけを行っていくべきであろう。

上記で取り上げた課題以外にも、薬価引き下げなど他の課題もあるため、市場規模が容易に拡大するわけではない。また、医薬品であるがゆえに、各国の法制度との兼ね合いもあるため国際化に時間を要するかもしれない。これらの懸念を踏まえた上でも、今後世界に広まっていくであろう「漢方」に、引き続き注目したい。