正文(1)

日本禅文化の価値

――無印良品の成功を例に

一、はじめに

「無印良品」といえば、多くの人は白黒?グレー係の簡素な洋服や綺麗で質素な売り場を連想するのであろう。１９８０年、「無印良品」の創始者である堤清二は、東京西友マーケットの食品売り場で生活専門販売コーナーを設立した。最初の頃は食品や日用品を経営し、製品数がほんの僅かな数十個であった。しかし、現在になると、「無印良品」の商品数はおよそ７０００個まで増加し、そして衣食住の様々な分野で経営するようになった。無印良品製のベッドの上で眠りに付き、無印良品製の布団をかけ、無印良品製の目覚まし時計で目覚め、無印良品製の洋服を着用し、無印良品製の歯ブラシで歯を磨き、無印良品製の眼鏡をかけ、無印良品製の自転車に乗り、無印良品製のカレーを食べ、カレーをの植物を栽培することが全て可能である。 ロゴや広告がなく、スポークスマンがいなく、製品には煩雑な色やデザインもない。「無印良品」は工夫を凝らした斬新な発想を持つと呼ばれている。展示が極めて質素な店舗であり、飾り等もない。ロゴやマーク等のない木製の匙の単価はおよそ５０元である。純白の陶磁器の茶碗の単価はおよそ１００元である。通常、このような製品と店舗は中国で生き残り、利益を獲得することが殆ど不可能である。しかし、「2012年まで、世界中の雑貨類製品の売上高が大幅に下落したことに対し、「無印良品」の売上高だけは飛躍的に向上した。世界中で純売上金は１８７７億円（約１１９．２億元）向上し、営業利益は１８５億円（約１１．６億元）向上した。」1奇跡は突然に訪れる。我々はその深層原因を発見できない時に、奇跡の名を冠してはいけない。 「無印良品」はこのような極めて質素な製品には、どのような金を稼ぐ秘密が隠されているのであろうか。その中には様々な原因が隠されているにも関わらず、最も肝心なところは、「無印良品」のデザインは禪の理念を推進していることである。「無印良品」の中にある「禅文化」に関する先行研究には様々な論考がある。例えば、日本においては、伊敦の『禅の歴史』2が存在している。中国においては、作者邱美林、張莉立の書いた文章『無印良品の中の禅美学を簡単に論述する』3が存在している。

本論文は、日本禅文化を理解する上に、無印良品における『禅文化』4を考察することを通し、日本禅文化の価値を課題として提起しようとするものである。我々は日本文化背景を理解し、無印良品は成功の原因は何だか、無印良品はよい点は何だか、その以上の問題を研究した上で分析した後、今後の日本禅文化を大幅に利用する可能性がある。この論文は、無印良品の禅文化1

2 高丹<诗意的栖居——浅谈日本禅宗文化和无印良品设计之美>、《大众文艺》、 2014年6月、P.59。 伊吹敦『禅の歴史』、法藏館、2001年3月、Ｐ.98。

3 邱美林、张莉立<浅谈无印良品中的禅宗美学>、《大众文艺》、2012年2月、P.63、此日文为笔者自译。 4 蔡洞峰<空悟静—禅宗的美学智慧>、《乐山师范学院学报》、2005年、P.98。 1

を理解する視点から、もっと多くの人は日本禅文化がよく分かるため、積極的に日本禅文化を発揚するため、日本禅文化の価値について論じたい。

二、「禅文化」の意義

1.「禅文化」の概念

「禅」という漢字は中国語では「思維修」あるいは「靜慮」であり、また、「棄悪」あるいは 「功德叢林」に訳す場合もある。禅とは実在しているものでなく、それは知恵や精神の中から流れだした悟りであり、精神的な境界でもある。日本の茶道や書道、花道は全て「禅文化」の審美の格調と設計の芸術を体現している。「日本民族は「禅文化」から「空寂」、「閑寂」、「物の哀れ」という三種類の審美の意識を抽出した。「空寂」とは、日本民族の最高の審美の境界であり、それは「物」の世界を完全に排除し、「無」という美学の基礎の上で建てられ、最高の精神的な境界の昇華のことである。」5「空寂」は「天人合一」という自然への崇拝の感覚であり、あらゆる美は大自然の最高の美から由来し、そして大自然にしか存在していないことを体現している。自然とは美のことである。「閑寂」とは、「誠」を核心としている。「誠」は日本文化の中で真実を代表している。「誠」を洞察するには、走馬灯のように見るでなく、その内在的な物事を観察するのである。自然の中にある小さな物事から宇宙万物の静と動を感じ、そして最後に悟りだした精神的な境界を「閑寂」と呼ぶ。中国語では「性情中人」という言葉があり、その意味は日本語の「禅文化」の「物の哀れ」に相当し、人の心が外部の世界に触れる時に生まれた喜怒哀楽や感動、その湧き出た感情のことである。「空寂」、「閑寂」、「物の哀れ」という三種類の審美意識は日本の人間の深層な文化的な心理を影響する重要な要素の一つである。

2.「無印良品」の中で「禅文化」の応用

「無印良品」は日本の「禅文化」に対する崇拝と敬慕を含む。「無印良品は本来の素朴な姿に戻るというデザインスタイルを用いて日本のファッション業界で嶄然として頭角を現し、世外の桃源のように我々の生活の隅々まで浸透してきた。」6消費者は食品から文房具、化粧品、洋服まで、その全てが「無印良品」というブランドを選ぶことができる。本ブランドは天然な素材で作られている。現代社会の物質材料が汚染されつつ環境の中で、「無印良品」は環境保護というテーマを守り、自然を崇拝する生活スタイルで、素材の選択、工芸の検測及び包装の簡潔から全て「無印良品」が環境保護に対する苦労を物語っている。7「無印良品」は「禅文化」の中の精髄を吸収し、消費者に斬新なブランド理念を与え、より生活を熱愛し、より健康で快適に過ごすようにさせる。

三、「無印良品」の感官 5

6 田中良昭『禅学研究入門』、大東出版社、1994年、Ｐ.67。 苏然<还物以本真——论“无印良品”品牌设计中的自然主义思想>、《美术大观》第四期、2014年9月、 P.16、此日文为笔者自译。

7 木村有伸『「異文化適応論」の中の日本人特殊論について』、立命館国際研究、2009年、 P.98。

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「無印良品」は1980年に西友百貨店のオリジナルブランドであり、主に消費者に経済的で実益な日用品や食品、洋服等である。「当時の日本の経済は低迷であり、「無印良品」は英文のブランド名を用いておらず、逆に本土の名称を用いた。」8本デザインは「無印良品」はより日本人の生活に近く、ファッションに尊ばず、その代わりに自然を尊ぶ。「無印」は日本語では「無地（柄なし）」、そこから派生して「ブランドなし」という意味もある。「良品」とは、高品質な商品のことである。「無印良品」は「ブランドなしと高品質」で消費者に自然で新鮮な商品をもたらす。「無印良品」というブランドの理念は「禅文化」の中の「空寂」を体現し、自然、高品質、経済的、実益的を提唱し、そのデザインは最も原始的な色彩と包装を採用し、その洋服は青、白、米色、黒を主な色彩としている。また、透明な?半透明な包装を用いており、漂白されていない包装紙を用いており、その全ての美が大自然から由来した感覚を与えると同時に、環境保護の理念を伝えている。

1.消費者の精神伴侶としての無印良品

「無印良品」は巨大な容器である。それは一人のデザインナーによって建てられた個人的なブランドでなく、デザインナーと広大な消費者の経験を吸収する容器である。無印良品の出発点は人間本位であり、人間本位の精神を堅持しているのことは、「無印良品」の現在のような巨大な成功を遂げたの原因である。本理念の中で、「無印良品」はまた「禅文化」の中の「閑寂」を伝承し、「誠」を核心とし、消費者の心の声に耳を傾け、さらにデザインナーの柔軟な頭脳を加え、消費者の好む商品を創り上げてきたのである。

2.静かで上品な店雰囲気

我々は初めて「無印良品」というブランドショップに足を踏み入れた時に、まるで世離れた世界に入ったようである。我々の喜怒哀楽はこのようなとこりで全てが溶け込み、心に安らかさと静かさだけ残す。9消費者の考えていることや感じていることは、「無印良品」の商品を見た瞬間に反映した。これが「ホームな雰囲気」の実質の体現である。そしてこのような視覚器官上での体現は「無印良品」が日本の「禅文化」と「物の哀れ」という意識の発展を物語っている。そしてこのような意識の形態はまた「無印良品」のブランド理念を体現している。

四、「無印良品」が崇め尊ぶ生活方式

経済のグローバル化の傾向の下で、「M」型社会の貧富の両極分化はより厳しくなっていく。それと同時に、多くの迅速なファッションブランドが市場に進出した。これらのブランドは経済的な価格とよりファッションなデザインスタイルによって市場を占領している。そして「無印良品」もその一つである。「無印良品」のデザインスタイルはミニマリズムの美学を伝承し、自然な質感をセールスポイントとして本来の素朴な姿に戻る効果を達成する。そのデザイン理念は最初から最後まで消費者を斬新な生活感覚を与え、最も簡単な方法で体現し、消費者が素材そのものと機能が見える。「無印良品」8

9 刘毅<禅宗与日本文化>、《日本学刊》第2期、2012年1月、P.97、此日文为笔者自译。 安田賀計著、曹建南訳『日本ビジネス儀礼』、上海学林出版社、2006年5月、P.45

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のミニマリズムの美学自身は緑色のデザインを含み、その包装は透明な?半透明な様式を用いており、素材を減少し、資源を節約する回収可能で環境に優しい方式を用いている。そしてその印の色は赤無地と白文字の「無印良品MUJI」の組み合わせであり、簡単でインタクトがある。「ブランドが設立されてから現在に至るまで、最初から最後まで「ブランドなしと高品質」というデザイン理念を堅持しており、その提唱している自然?簡潔?質素?緑色の生活スタイルは現代都市の住民の憧れているスタイルである。」10例えば素材の選択や工芸の精細さ及び質素な包装等により、消費者はより安心して購買できるようになる。そのため、「無印良品」はM型社会の新たな人気ものになっている。広く衆知を集め、顧客にデザインを参加させる。２００１年から、「無印良品」はインターネットを通じて消費者とコミュニケーションし始め、消費者と共同で発想を激発し、消費者に満足させる商品をデザインしてきた。そして最後に様式や規格及び価格を決めた後、消費者の注文量が量産の数量を超えた後、正式に量産を始める。このような方法は「無印良品」の人間本位のデザインを体現しているだけでなく、さらに「無印良品」というブランド理念及び注ぎ込んだ「禅文化」の精髄をうまく説明することができる。生活の細かい点を参考にする。人々のよくデザインのインスピレーションは生活から由来したと言っている。人々が美しく上品な生活を追求しているだけでなく、さらに快適で親密な生活を追求している。そして「無印良品」は消費者への家庭訪問を通じて消費者の異なる生活スタイルを観察し、デザインのインスピレーションを探し、そして消費者のためによち理想な日常生活環境を創り上げる。これこそが「無印良品」が生活に対するデザイン目標である。デザインの巨匠と提携し、ブランドの上品さを向上させる。まず、「無印良品」の洋服製品を選択する消費者の年齢層は２０～２４歳であり、主に若者の消費者である。次に、「無印良品」以外にも、多くの迅速なファッションブランドがM型社会の消費レベルに適合している。これにより、消費者はより多くの選択肢を持つ。このような現象を緩解?消去するために、「無印良品」はデザインの巨匠と提携し、ブランドの上品さを向上させ、商品のデザイン力を強化させる。そして最後に、「無印良品」の戦略により、本ブランドの洋服製品はより大きな市場を獲得した。グローバル化の視野を持ち、様々な長所を広く受け入れる。「無印良品」は世界各地からデザインの要素を探し、そして本土の需求に基づき、製品を改造する。「無印良品」の優れたことは、地域的な文化を代表している素材を最大限で製品に利用することである。11「無印良品」のラベルから、よく各地からの異なる素 材が見える。これにより、消費者は物事に対する新鮮味が生じる。このような行動によって消費者は製品の生産の過程及び地域の文化を連想させ、そして消費者の購買意欲を激発させる。

五、デザインにおいて、「無印良品」の「家」の陳列概念の強調 「無印良品」は最初それ自身のブランドのコーナーを持っておらず、その代わりに西友百貨店でそれぞれの種類によってそれぞれの売り場に並ばれてい10

11 前掲、<浅谈无印良品中的禅宗美学>《大众文艺》、P.79。 原研哉『デザインのデザイン』、岩波書店、2003年、P.88。

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る。食品は食品売りばに並ばれており、そして洋服は洋服売り場に並ばれている。こうして、一つのブランドの販売モードを形成することができず、さらに本ブランドの商品を見付けることは限界がある。そのため、「無印良品」は初めて全ての商品を揃い、百貨店で自らのコーナーを持ち始めた。そして「家」というデザイン理念に基づき、調整し、並べた。そして顧客を統合された後の「無印良品」の売り場まで足を運ばせ、顧客を理想な「家」に帰った感覚をもたらす。その他にも、カメラマンの藤井保は「地平線」のポスターの構想を提案し、「無印良品」の発展に対して不可欠な役割を果たした。「無印良品」がM型社会の新たな人気ものになっていることはなすべきことである。ブランド理念からデザインスタイル、市場のマーケティングまで、無印良品は消費者の心をうまく掴めた。無印良品は包装なしという点を強調しているが、このような包装過剰な時代でその才能が現れている。これが無印良品の精髄である―緑色で環境に優しく、簡単で質素、自然で上品、そして日本の禅文化と結合し、他人と異なり、生活スタイルをテーマとしている。「現在、多くのブランドはラベルの突出性を重視し、商品を識別するよりブランドを識別している。そして無印良品はその逆思考のやり方を用いており、商品のスタイルは非常に顕著であり、消費者に本来の自分に戻る?質素で上品?てきぱきしている?環境に優しく自然な感覚を与える。」12無印良品は日本さらに世界中のファッション業界で一席を占めることができるでのあろう。

六、おわりに

「無印良品」はM社会における義を見てためらわなく、最も人気商品の位置を占めている。ブランド理念からデザインスタイル、そしてマーケティングまで、全て消費者の心を獲得することに大成功している。「無印良品」は包装なしということを繰り返して強調しているにも関わらず、今現在における包装過剰な時代の中で才能を現れている。これこそが「無印良品」の精髄であり、すなわち、環境保護、質素、自然?上品、日本における「禅文化」13と結合し、生活スタイルをテーマとし、一般的な物とは異なっているブランドを創り上げたのである。今現在、多くのブランドはラベルを強調しており、商品を認識するよりもブランドを認識するほうを強調している。それに対し、「無印良品」はその真逆な思考パターンのやり方を用いており、製品のスタイルが極めて明らかに本当の自分に帰り、質素?上品、清潔?機敏、環境保護、そして自然な感覚を消費者に伝えている。また、「無印良品」は日本、さらに世界中のファッション業界で重要な地位を占めている。

12 苗琳<境中静之美——论设计中的禅宗美学>、《和田师范专科学校学报》、2011年、P.102、此日文为 笔者自译。

13 田中良昭『禅学研究入門』、大東出版社、1994年。

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